私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。
171日間という長期の拘置を含めた“塀の内外”の詳細な記録である。痴漢えん罪裁判でも批判された“人質司法”の実態といってもいい。
著者は世界的な地震学者だが、自ら開発した海底地震計を騙して売ったという詐欺容疑で逮捕・起訴された。被害者とされる外国大学が「騙された覚えはない」と証言したが、執行猶予付き有罪となった。かねて、政府の地震研究体制を批判してきたから、“国策捜査”という新語を連想してしまう。ただし、ユーモアと科学者らしい律儀さが貫かれて、本人には不謹慎ながら、いい読み物になっている。
司法界は裁判員制度のPRに余念がないようだ。しかし本書を読めば、そんな他人の裁判より先に、刑事訴訟法の在り方を広く論議すべきだと思える。(島村英紀著、講談社文庫、560円)
私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。
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