歌謡曲だよ人生は
オムニバス映画は好きでなかったが、この作品を見て深く反省をした。オムニバスでも面白いものは面白い。これは本年のベスト5に入れてもいいと思う。
考えてみれば歌謡曲は、人の心の奥底を揺さぶるような3分ほどのドラマである。そんな歌謡曲にインスパイアー(喚起)された監督が、昭和のドラマを平成の視点で映像化し直すのだから、一筋縄でいかないドラマが作られる。笑った。そしてジーンと来た。
昭和34年、守屋浩が歌った『僕は泣いちっち』。最初の話はこの歌が流れる恋愛ドラマ。東京に行ってしまった女友達を見送った青年がこのセリフを言ったのだ。そうなのだ。その頃は、みんな東京に憧れていた。あそこには青春があったと誰もが思っていた。阿久悠さんは、歌は情報で「歌で東京の風景を妄想した」と書いていた。歌謡曲は若かった青年や乙女に青春と恋と東京を妄想させたものだ。
第6話の『ざんげの値打ちもない』では、余貴美子さんがイイ味を出している。昔に苦い恋をした女の役で、平成生まれの若いカップルの恋に優しいまなざしを向けていた。我らもこの視点のおとなになっていたと気付かされた。
他に取り上げられた曲は、『これが青春だ』『小指の想い出』『ラブユー東京』『女のみち』『いとしのマックス/マックス・ア・ゴーゴー』『乙女のワルツ』『逢いたくて逢いたくて』『みんな夢の中』。
この映画は映像の紅白歌合戦だ。年越し、この映画を見て過ごすのも一興だろう。
2007年5月公開、本編2時間10分。発売・アルタミラピクチャーズ、ザナドゥー、ポニーキャニオン、3990円。
歌謡曲だよ人生は
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