果ての花火−銀座開花おもかげ草紙
「吉原手引草」で直木賞を受賞した著者の受賞後第1作。「銀座開化」シリーズの続編となる連作短編集である。
多くの幕臣が地方へ移り住むなか、宿敵を討つため東京・銀座に残った31歳で旧旗本の次男・久保田宗八郎が主人公。大名子息で洋行帰りの伊達男・戸田三郎四郎や西郷隆盛を崇拝する薩摩出身の巡査など脇役たちも魅力的だ。
旧幕時代は名うての岡っ引きだった老人の切ない最後を描いた表題作、耶蘇教の書店・十字屋を営む宗八郎の友人が150円もの大金を盗まれる事件「血の税(みつ)ぎ」など、世の中が急激に西洋化する中で戸惑い、翻弄される人々を描く。
金もうけに目の色を変え、モラルが崩壊する様子は現代にも通じそう。そんな中で時流に流されず、ものの本質をしっかり見極めて生きようとする宗八郎の姿は力強い。
(松井今朝子著、新潮社・1575円)
果ての花火−銀座開花おもかげ草紙
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