今は、正に「落語ブーム」で「昭和ブーム」だが、その両方を楽しめる本。落語ゆかりの東京各地を訪ね、その土地の今昔を綴っている。
「日本橋」から「赤坂」まで全54話。1話1点の挿絵も自筆。昭和40年代に書かれた随筆の文庫化で、絵と文章で、当時を懐かしむことができる。1話ごとに落語のさわりを紹介しているが、それぞれ「三遊亭円生」や「先代桂文楽」の声が聞こえてくるようだ。
ところが、著者は「落語の舞台を歴訪して名所古跡ガイドをするつもりもなければ、いたずらにむかしを偲んで、東京の変貌を嘆くつもりはさらにない」と前口上。さらにあとがきで「素人のヘタくそな絵を何十枚も見せられてたまるもんか、と私も読者だったらそう思う」ときた。
全く逆で、こんな頑固な人、いや洒落た人がいた昭和が今は懐かしい。
絵本・落語風土記